新築工事で最も重要とも言える「基礎工事」について解説します。この記事では、基礎工事の役割や種類、工事の流れ、工程表やトラブル回避のポイントまでをわかりやすく紹介します。
建設現場における新築の基礎工事について、種類ごとの特徴から工程管理、進捗管理の重要性までを網羅的に解説します。
この記事では基礎工事に関わる全ての関係者に役立つ実務的な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
新築における基礎工事とは?
基礎工事とは、建物の荷重を地盤に伝えるための「基礎」を構築する作業を指します。この基礎は、鉄筋コンクリートで構成され、建物の安定性を確保するために不可欠な要素です。基礎工事の主な目的は、建物の重量を均等に地盤に伝え、不同沈下や傾きを防ぐことにあります。
基礎工事は、新築住宅の建設において、建物の安全性と耐久性を確保するための最初のステップです。適切な基礎工事を行うことで、長期にわたって安心して暮らせる住まいを実現することができます。
基礎工事の構成要素
基礎工事は、以下のような構成要素から成り立っています。
- ・底盤(ていばん)
建物の荷重を支える水平部分 - ・立ち上がり
底盤から垂直に立ち上がる部分で、建物の壁や柱を支える - ・地中梁(ちちゅうばり)
基礎内部に配置される梁で、基礎全体の剛性を高める - ・杭(くい)
地盤が軟弱な場合に、支持層まで打ち込まれる構造材
h2 新築における基礎工事の重要性とは?
基礎工事は、建物の荷重を地盤に均等に伝える役割を果たします。これにより、不同沈下や傾きを防ぎ、建物の安定性を確保します。特に地震が多い日本では、基礎工事の品質が建物の耐震性に直結します。適切な基礎工事が行われていないと、地震時に建物が損傷を受ける可能性が高まります。
適切な施工と管理を行うことで、長期にわたって安心して暮らせる住まいを実現することができるでしょう。
長期的な視点での基礎工事の重要性
日本の住宅の平均寿命は約30年とされ、欧米諸国と比較して短い傾向にあります。その一因として、基礎工事の品質が挙げられます。耐久性の高い基礎を築くことで、建物全体の寿命を延ばすことが可能です。また、長期優良住宅の認定を受けるためには、基礎の耐久性が重要な要素となります。
適切な施工と管理の必要性
基礎工事の品質は、使用する材料だけでなく、施工精度や管理体制にも大きく依存します。例えば、コンクリートの養生期間を適切に確保しないと、十分な強度が得られず、基礎の耐久性が低下します。そのため、施工中のチェックや第三者機関による検査が推奨されます。
経済的な観点からの基礎工事の重要性
基礎工事における不備は、将来的な修繕費用の増加や建物の資産価値の低下を招く可能性があります。初期段階で適切な基礎工事を行うことは、長期的なコスト削減につながります。また、建物の安全性が確保されることで、居住者の安心感も高まります。
基礎工事の種類
新築住宅の建設において、基礎工事は建物の安全性と耐久性を左右する重要な工程です。基礎工事にはいくつかの種類があり、地盤の状態や建物の構造に応じて適切な工法を選択することが求められます。
代表的な基礎工事は以下の4種類が存在します。
- 1.杭基礎
- 2.ベタ基礎
- 3.布基礎
- 4.独立基礎
基礎工事の選択は、建物の安全性や耐久性に直結するため、地盤調査の結果や建物の構造を踏まえて、適切な工法を選ぶことが重要です。
基礎工事の種類ごとに、それぞれ個別に解説を行っていきましょう。
杭基礎
地盤が軟弱な場合に採用される工法で、支持層と呼ばれる固い地盤まで杭を打ち込んで建物を支えます。杭基礎には、杭の先端を支持層に到達させる「支持杭」と、杭の側面と地盤との摩擦力で支える「摩擦杭」の2種類があります。この工法は、地盤沈下や地震時の液状化対策として有効です。
ベタ基礎
床下全体を鉄筋コンクリートで覆う工法で、建物の荷重を面全体で支えるため、耐震性や耐久性に優れています。また、地面からの湿気を防ぎ、シロアリの侵入を抑制する効果もあります。ただし、コンクリートの使用量が多いため、施工費用が高くなる傾向があります。
布基礎
建物の柱や壁の下に連続して基礎を設置する工法で、地盤が比較的強固な場合に適しています。ベタ基礎に比べてコンクリートの使用量が少なく、施工費用を抑えることができます。しかし、床下に土が露出するため、湿気やシロアリ対策が必要です。
独立基礎
柱の下にのみ基礎を設置する工法で、地盤が非常に強固な場合や、軽量な建物に適しています。施工費用を抑えることができますが、耐震性や耐久性の面で他の工法に劣るため、一般的な住宅ではあまり採用されません。
基礎工事の主な工程
新築住宅の建設において、基礎工事は建物の安全性と耐久性を確保するための重要な工程です。
一般的な基礎工事の主な工程は以下の通りです。
- 1.地盤調査と地縄張り
- 2.掘削工事(根切り)
- 3.砕石敷きと転圧
- 4.防湿シート敷設と捨てコンクリート打設
- 5.配筋工事と配筋検査
- 6.型枠設置とコンクリート打設
- 7.養生と型枠解体
それぞれ順を追って解説します。
地盤調査と地縄張り
まず、建設予定地の地盤調査を行い、地盤の強度や特性を確認します。その後、地縄張りで建物の位置を示し、遣り方で基礎の高さや水平を設定します。これにより、正確な位置と高さで基礎工事を進めることができます。
掘削工事(根切り)
基礎を設置するために、設計図に基づいて地盤を掘削します。この作業は「根切り」とも呼ばれ、基礎の底部まで正確に掘り下げることが求められます。掘削面が平滑であることが、基礎の安定性に直結します。
砕石敷きと転圧
掘削後、砕石を敷き詰めて地盤を補強し、ランマーなどの機械で転圧して地盤を締め固めます。この工程により、基礎の沈下を防ぎ、安定した支持力を確保します。
防湿シート敷設と捨てコンクリート打設
地面からの湿気を防ぐために、防湿シートを敷設します。その上に捨てコンクリートを打設し、基礎の型枠設置や墨出しの基準面を作ります。捨てコンクリートは構造的な強度には関与しませんが、施工精度を高めるために重要です。
配筋工事と配筋検査
設計図に基づいて鉄筋を組み立てる配筋工事を行います。鉄筋の配置や間隔、重なりなどが適切であることを確認するため、第三者機関による配筋検査が実施されます。この検査に合格しなければ、次の工程に進むことはできません。
型枠設置とコンクリート打設
配筋工事が完了したら、型枠を設置し、コンクリートを打設します。まず、基礎の底部(ベース)にコンクリートを流し込み、硬化後に立ち上がり部分の型枠を組んで再度コンクリートを打設します。コンクリートの打設時には、バイブレーターを使用して気泡を除去し、密実な構造を確保します。
養生と型枠解体
コンクリート打設後、適切な温度と湿度を保ちながら養生期間を設けます。この期間中にコンクリートが十分な強度を発現します。養生が完了したら、型枠を解体し、基礎工事が完了となります。
工程表の重要性
工程表とは、建設プロジェクトの各工程の開始日、終了日、期間、必要な資材や人員などを一覧化し、全体の流れを可視化する管理ツールです。これにより、各工程の進捗状況や作業の順序、必要なリソースを一目で把握することができます。
工程表は、新築住宅の基礎工事において、工事の効率化やトラブルの未然防止、関係者間の情報共有など、さまざまな面で重要な役割を果たします。適切な工程表の作成と活用により、プロジェクトの成功に大きく寄与することができるでしょう。
工程表の目的とメリット
工程表の主な目的は、プロジェクトの進行を管理し、納期を確保することです。具体的には、以下のようなメリットがあります。
- ・納期の確保
各工程のスケジュールを明確にすることで、計画的な作業進行が可能となり、納期の遵守が期待できる - ・工期の短縮
作業手順や期間が明確になることで、無駄な時間を削減し、効率的な施工が可能となる - ・トラブルの未然防止
工程表を活用することで、作業の重複や資材の手配ミスなどのトラブルを事前に防ぐことができる - ・関係者間の情報共有
工程表を共有することで、関係者全員が同じ情報を持ち、スムーズなコミュニケーションが図れる
工程表の種類
工程表には、プロジェクトの規模や目的に応じてさまざまな種類があります。代表的なものとして、以下のような工程表が挙げられます。
期間ごとの工程表
- ・総合工程表
プロジェクト全体の流れを大まかに把握するための工程表で、工期全体を俯瞰できる - ・月間工程表
1ヶ月単位で詳細に管理する工程表で、各工程の進捗を確認できる - ・週間工程表
1週間ごとにさらに細かく管理する工程表で、毎日の作業内容も明確になる
目的ごとの工程表
- ・ガントチャート
横軸に時間、縦軸に作業項目を配置する形式の工程表で、複数の作業の重複や並行関係がわかりやすく、実務で最も広く使われている。主に中〜小規模の建築工事や、日常の進捗管理に適している - ・バーチャート
ガントチャートと似ている、作業の順序関係を明示しない単純な棒グラフ形式。工程の時間配分を一覧で示すことができ、全体の時間管理がしやすい構造で、作業同士の依存関係(前後関係)がない、単純な業務工程に適している - ・ネットワーク工程表
作業間の関係性(前後関係や並行関係)を矢印やノード(丸)で示した図形式。各作業が「どの作業の後に行うか」「どれだけの期間がかかるか」を可視化でき、複雑な工事や作業が多く絡むプロジェクトに向いている - ・出来高累計曲線(工程管理曲線)
工事の進捗状況を金額または数量の累積でグラフ化したもの。実際の進捗(実績曲線)と予定(予定曲線)を比較することで、進捗の遅れや前倒しを視覚的に把握でき、プロジェクト管理全般に用いられる
工程表の作成と活用
工程表を作成する際には、以下のポイントに注意することが重要です。
- ・現実的な工期を設定する
作業日数をざっくりと見積もり、実際の工期に収まるように調整する - ・工程の関連性を意識する
工程同士の関連性を意識して並べ、作業の進行順序が正確かを確認する - ・柔軟な対応が可能な工程表を作成する
予期せぬトラブルが発生した場合でも、工程表を活用して迅速なリカバリー対応が可能となるようにする
また、工程表は作成するだけでなく、定期的に見直し、進捗状況を確認しながら活用することが重要です。これにより、工事の効率化やトラブルの未然防止が期待できます。
工事の進捗管理とトラブル回避策
新築住宅の基礎工事において、進捗管理は工期遵守と品質確保の両面で極めて重要です。適切な管理が行われない場合、施工ミスや工程の遅延、さらには重大な構造的問題に発展する可能性があります。
そこで、進捗管理の重要性とトラブル回避のための具体的な対策について解説していきましょう。
進捗管理の重要性
進捗管理は、工事の各工程が計画通りに進行しているかを確認し、必要に応じて調整を行うプロセスです。これにより、以下のようなメリットが得られます。
- ・工期の遵守
各工程の進捗を把握することで、全体のスケジュールを管理し、納期を守ることが可能になる - ・品質の確保
工程ごとに適切な検査を行うことで、施工ミスを早期に発見し、是正することができる - ・コストの管理
予定外の手直しや遅延による追加費用を防ぐことができる
特に基礎工事では、配筋やコンクリート打設など、後戻りが難しい工程が多いため、進捗管理の重要性は高まります。
効果的な進捗管理の手法
進捗管理を効果的に行うためには、以下の手法が有効です。
工程表の作成と共有:ガントチャートやネットワーク工程表などの目的に適した工程表を用いて、各工程のスケジュールを明確化し、関係者間で共有する
定期的な進捗会議の実施:週次や工程ごとに進捗会議を開催し、現状の確認と問題点の洗い出しを行う
写真や記録の活用:各工程の完了時に写真を撮影し、記録として残すことで、後の検査やトラブル対応に役立つ
デジタルツールの導入:現場管理アプリやクラウドサービスを活用し、リアルタイムでの情報共有と進捗管理を実現する
これらの手法を組み合わせることで、進捗管理の精度を高め、トラブルの発生を未然に防ぐことが可能となります。
トラブル回避のための確認項目
基礎工事におけるトラブルを未然に防ぐためには、以下のポイントを確認することが重要です。
- ・配筋の適切な配置
鉄筋の位置や間隔、定着長さが設計通りであるかを確認する - ・防湿対策の実施
防湿シートや防湿コンクリートが適切に施工されているかをチェックする - ・アンカーボルトの設置
位置や本数、埋め込み深さが正確であるかを確認する - ・型枠の状態
型枠に歪みや隙間、異物の混入がないかを検査する - ・コンクリートの品質
打設時の温度管理や養生期間が適切であるかを確認する
これらの項目をチェックリストとして活用し、各工程での確認を徹底することで、施工ミスのリスクを大幅に低減できます。
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まとめ
以上、建設業における新築の基礎工事について解説しました。
今回の記事の内容をまとめると以下の通りになります。
- ・基礎工事は建物の安全性と耐久性を左右する最重要工程である
- ・地盤や構造に応じて杭基礎、ベタ基礎など適切な工法を選定する
- ・工程ごとの正確な施工と配筋・型枠・コンクリートの管理が重要
- ・工程表の活用でスケジュールと品質を効率的に管理できる
- ・トラブル防止には確認項目のチェックと進捗管理が不可欠
基礎工事を効率よく進め、かつミスやトラブルに対応するためにも、現場管理アプリのご利用をおすすめします。