工事写真は、工事情報を記録するとともに、適切な施工が行なわれたことを証明するものでもあります。そのため、データを保存し、後で確認しやすいように整理しておく必要があります。
現在、工事の施工管理は電子化が進んでおり、工事写真の整理においてもシステムでの管理が一般的になりつつあります。そして、このシステム管理によって、工事の効率や生産性は大幅に向上しています。
この記事では、このような現状を踏まえて、工事写真の概要や目的、工事写真を整理すべき理由、工事写真の整理の仕方について、現場管理初心者の方にもわかりやすく解説します。
また、優れた写真管理機能を持つアプリ「現場ポケット」についても紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
工事写真とは
工事写真は、施工管理はもとより、工事の発注者や設計事務所、請負会社の管理部門など、複数の工事関係者が当該工事の妥当性を判断するための記録です。
そのため、各関係者は、施工の各段階での着手前及び完成写真、施工状況などの工事写真で施工過程が適切なものだったかを確認します。
所定の出来高や品質が確保されているか、使用資材は適正かなども工事写真で確認するため、設計数値と実測数値は明確に表記されていることが必須です。
このように、工事写真は、工事の施工管理に関わる図面や報告書などの資料の中でも重要性が高いものといえます。
また、万が一の事故や災害の記録、目的物が供用された後の維持修繕の資料になることも覚えておいてほしいです。
工事写真の目的とは
工事写真は、日々の施工状況や進捗を工事関係者で共有するとともに、工事が設計図書や仕様書通りに進められているかを各段階で検証するための記録です。工事写真の目的について、4つのポイントに集約して解説します。
工事の施工及び進捗状況を記録する
施工の進捗とともに、現場は日々変化しています。そのため、所定の各段階で記録しておかないと、前の現場の状況はわからなくなってしまいます。
例えば、更地に高層ビルを建てるとして、基礎工事から鉄骨組立、外壁・内装工事、設備工事、仕上げというフローが一般的です。基礎工事や鉄骨工事がどのように施工されたかは、外壁・内装工事が始まってしまうと正確に検証できなくなります。
そのため、工事写真を撮影し、整理して残しておくことが重要なのです。
また、工事は、契約で定められた工期があり、施工計画書に基づいて作成された工程があります。この工期・工程に沿って、施工が行なわれていることも大切なので、この点においても撮影月日のわかる工事写真は重要です。
施工品質の証明となる状況を記録する
建設現場の施工管理は、品質、原価、工程、安全、環境などの管理項目で現場を管理します。適切な施工管理が行われているかどうかの判断は、図面や報告書、各種証明書とともに、工事写真も必須の資料となります。
例えば、工事目的物の強度や規格、密度などが設計書や仕様書に定められた品質を満たしているかを写真で確認するので、工事黒板入りの工事写真を使って設計値と実測値などを明記しなければなりません。
施工管理の的確性の証明にもなる工事写真は、工事の規模にもよりますが、多岐にわたる種別があり枚数は大量になります。これを閲覧者誰もが見やすくするための写真整理は非常に重要な作業です。
使用資材や施工方法を記録する
建設工事の工事写真は、使用資材や施工方法を記録することも重要な目的の一つです。
使用資材の記録では、荷姿はもちろん、規格寸法の数値を確認できる写真の撮影が必要です。その写真とともに、メーカーの品質証明書や出荷証明書を発注者に提出します。
工事の施工方法の選択は、発注者が指定するケースと請負会社が適宜選択する場合があります。どちらの場合も、施工方法の確認は重要なので、工事目的物がどのような方法で施工されたか詳細がわかるように記録しなければなりません。
このように写真を記録し整理しておけば、万が一のトラブルや瑕疵があったときの検証にも役立ちます。
目的物の維持保全の資料にする
建設工事の施工過程の記録は、目的物の完成後の維持や修繕のための貴重な資料となり、発注者や監理者には特に重要です。
建設工事の目的物は、完成して終わりではありません。その後、多くの利用者によって活用されるものです。
発注者は、利用者が安全で快適に長く使用できるような目的物を求めます。そのため、完成後の目的物はさまざまな検査や試験で品質が検証されます。
しかし、施工過程は、完成後に正確な検証ができないため工事写真などによる記録が重要になるのです。
工事写真を整理すべき理由
工事写真を整理すべき理由について、3つのポイントで説明します。
工事情報を共有するため
工事情報を共有しようとするとき、実際の現場を撮影した写真は何よりも確かな証明となります。
しかし、大量の工事写真を整理していない状態で共有しても、施工管理以外の関係者には内容を把握するのに時間がかかります。
確認したい項目の写真が時系列や工程に沿って並べられていれば、順に目を通していくだけで現場状況が迅速に理解可能です。
さらに、アプリなどで管理していれば、遠隔地でも現場情報をリアルタイムで確認できます。
工事情報を確認しやすくするため
工の節目となる各段階で工事状況を把握するために発注者や監理者の確認を受ける場合や、施工中に何か問題が発生したときの本社・営業所との打合せにも工事写真は必要です。
こういうとき、工事写真が整理されていれば、手つかずの状態とは格段の違いで確認しやすくなります。
工事写真を日々整理するのは時間を必要として面倒に感じることもありますが、アプリがあれば自動化される部分が多いため非常に楽です。
竣工書類として提出するため
建設工事では、工事が無事完成したときに、発注者に竣工書類を提出します。竣工書類とは、工事の完成とその成果を記録する図面や種類のことですが工事写真も含まれます。
発注者や監理者に工事の履行状況を報告する書類の的確性や妥当性を証明するのが工事写真の役割です。このときも、工事写真が適切に管理され、整理されていることが重要になります。
工事写真の整理の仕方
工事写真は、工事情報の重要な記録であり、複数の工事関係者が閲覧するものです。見たい工種や日付が探しやすく、ストレスなく閲覧できるようにしなければなりません。
工事写真の整理の仕方は、特に法的な規定などなく発注者などで違うこともありますが、ここでは一般的な方法を解説します。
整理の手順を確認
工事写真を、項目ごとに区分してフォルダ化したものを写真台帳といいます。あらかじめ適切な撮影計画に基づいて撮影された写真を整理する、大まかな流れとしては、以下のようになります。
- ① 項目ごとに表紙を作成
- ② 表紙ごとに写真を貼り付ける
- ③ 工事写真の余白に情報を記載する
- ④ データ保存とバックアップ
工事写真の項目
工事写真は、見たい写真を探しやすいよう項目ごとに並べますが、国土交通省が推奨する「工事写真管理基準」に準じた項目の内容と順番は下記の通りです。
見開き(着手前及び完成写真)
見開きは、台帳の概要となる部分で、主に工事全体の流れを掴むための写真を貼付します。見開き左ページに工事全景の着手前、右ページに完成写真を貼付するのが一般的です。
施工状況・手順写真
施工状況・手順写真で、施工状況写真を各段階でまとめて並べ、工事の流れを証明します。特に、施工品質に影響するような工事のポイントとなる箇所の写真の貼付は必須です。
安全管理写真
安全管理が適切に行われているかを証明するため、各施工段階での安全管理の状況を貼付します。具体的には、保安設備や各種標識類の設置状況、交通誘導員の交通整理状況、安全訓練などの実施状況です。
使用材料写真
品質管理のため、材料検収時の写真や材料の計測状況がわかる写真の貼付が必要です。設計図書で規定された材料と同等品以上であることが求められます。
材料の出荷証明書や成績証明書が必要な場合は、ここに添付することもあります。
品質管理
所定の材料を使用し、設計書に示された規格や方法で施工していることを証明できる写真を、必要に応じて設計値と実測値を付記して貼付します。現場で行われた品質試験や現地調査があった場合は、その写真の貼付も必要です。
出来形管理
工事目的物の出来形管理写真を段階ごとに撮影し添付します。出来形管理写真とは、設計書や仕様書に定められた規格基準と比較して、どの程度の精度で施工されたかがわかる写真のことです。
災害・事故
施工期間中、豪雨や暴風、雷などの自然災害などで現場が被害を被った場合や、労働災害が発生した場合の写真です。被害と復旧の両方の写真が必要になります。
その他(公害、環境、補償等)
現場を起因とする、公害や環境汚染、補償案件などがある場合に状況がわかる写真を貼付します。また、通常の項目には区分できないが、貼付すべきとされるものをまとめて記載することも多いです。
表紙・仕切りを作成
工事台帳の表題となる表紙と、各項目名を記載した仕切りをつくります。表紙には、工事番号、工事名称、工期、施工会社名などを記入します。
仕切りには各項目名を記載し、どの項目の写真であるかが一目でわかるようにします。仕切りの端部に項目名を記載したインデックスを付けて、どの項目のページか探しやすいようにすることが多いです。
写真の貼り付け
工事写真を仕切りの項目に従って、貼り付けていきます。写真が違う項目にまぎれ込まないように注意しましょう。
通常、着手前と完成での違いがわかりやすいように、比較しやすい位置で貼っていきます。
工事情報の記載
工事写真には、工事情報の記載が必須です。工事写真内の黒板に記載されている内容と重複するものでも構いません。写真と別に明記することで、閲覧のスピード感が違ってきます。
ここでの工事情報とは、工事の基本情報の概要や撮影場所、工事項目(工種)、工事内容などです。
データ保存とバックアップ
工事写真は、台帳にまとめる段階はもとより、日々の撮影過程でもデータ保存とバックアップを心がけてください。データは定期的にパソコン本体や外部メモリに保存し、クラウドやメールなどでバックアップをとっておくことをおすすめします。
写真データが紛失したり破損したりした場合を考えれば、多少の手間を惜しんではいられません。
現場ポケットで写真整理をラクに

工事写真の整理は、大量の枚数の写真を扱うため、施工管理の書類整理業務の中でも特に手間と時間を必要とする業務です。
そのため、現在ではアプリやシステムを活用して効率アップを図っている建設会社が多くなっています。中でも特におすすめなのが、現場管理に特化したアプリ、「現場ポケット」です。
現場ポケットは、初期費用無料でランニングコストは基本11,880円(税込)/月というお手頃価格なのに、写真管理機能だけでなく、さまざまな機能を備えたアプリとなっています。
初期費用やオプション費用は一切かからず、アカウント数・データ容量、現場登録数が無制限です。
現場ポケットの写真管理機能とその他の機能について紹介します。
現場ポケットの写真管理機能
工事写真整理の効率化に大きく貢献するのが、現場ポケットのアルバム機能です。
写真管理を無料トークアプリで行い、工事写真をトークに投稿すると自動でアルバムに保存していきます。クラウド対応なので、アプリでもPCでもリアルタイムで共有できます。
独自のタグ付き機能を使えば、工種などのキーワードを工事写真にタグ付けするとアプリが自動的にタグで写真整理してくれるので、関連キーワードを入力するだけで写真検索することが可能です。
さらに、現場ポケットでは、電子小黒板の後付けが可能で、黒板の表記間違いも楽に修正できます。
現場ポケットのその他の機能
現場ポケットのその他の機能の概要を説明します。
・トーク機能
現場単位でグループ・チャットが可能で素早い情報交換と共有が可能です。また、周知したい重要事項は、掲示板にピン留めできるので見落とし防止に繋がります。見やすく操作しやすい画面デザインも高評価となっています。
・報告書機能
複数のデザインの報告書テンプレートが用意されているので、アルバムから写真をテンプレートにはめ込んでいくだけで見やすい報告書が作成できます。定型文を選択するだけで文字入力が可能な定型文機能も人気です。
・日報機能
その日の作業開始から終了時間までをトーク画面から簡単に入力できます。入力忘れや間違いの修正や追加が容易で代理入力も可能です。現場別、職人別の作業人工を個別集計し、ファイルで出力することができます。
まとめ
ここまで、工事写真の整理について、下記の内容で解説してきました。
- ・工事写真の概要と目的
- ・工事写真を整理すべき理由
- ・工事写真の整理の仕方
- ・工事写真整理の業務時間を大幅に短縮する現場ポケットの紹介
工事写真は、工事情報を記録するとともに適切な施工が行なわれたことを証明する重要なものですが、大量の枚数を閲覧者の見やすいように的確に整理する必要があります。そのため、施工管理は、書類業務の中でも特に手間と時間を必要とする業務です。
建設現場の長時間労働の解消や生産性の向上のために、現場ポケットのような現場管理に特化したアプリの活用をおすすめします。