建設業の現場管理に欠かせない工程表とは?

2025-03-26

建設業の現場管理に欠かせない工程表とは?

建設現場の管理において、工程表はプロジェクトの円滑な進行やトラブルの対応に欠かせない重要なツールです。適切な工程表を作成することで、作業の効率化やトラブルの未然防止が期待できます。

本記事では現場管理に活用することができる工程表の基本的な役割や作成手順、活用方法について解説します。

これにより、建設プロジェクトの管理をより効率的にできるだけでなく、関係者間のスムーズなコミュニケーションが図れるでしょう。

建築現場において用いられる「工程表」とは何か?

今回の記事では工程表について、作成方法や種類などを詳細に、かつわかりやすく解説します。

工程表とは?

工程表とは工事現場における作業の進行状況を時系列で示した計画表のことです。

具体的には、各作業の開始日や終了日、作業間の関連性、必要なリソースなどを視覚的に表現します。これにより、全体の工事計画を一目で把握でき、効率的な現場管理が可能となります。

適切な工程表を作成できるかどうかは、現場管理の効率化に直結します。工程表を用いることで、各作業の進捗状況をリアルタイムで把握し、必要に応じて計画の修正やリソースの再配分を行うことが可能です。

これにより、工事の遅延やコスト超過を未然に防ぎ、プロジェクトの成功に寄与します。

さらに、工程表は関係者間のコミュニケーションツールとしても有効です。共通の計画を共有することで、各チームやサプライヤーとの連携がスムーズになり、全体の調和を保ちながらプロジェクトを進行できます。

以上のように、工程表は現場管理において欠かせないツールであり、その適切な活用がプロジェクトの成功に大きく影響します。

工程表の目的

工程表は前述の通り、工事を計画的に進めるために欠かせないものです。

工程表を作成する具体的な目標としては、下記の様なものが挙げられます。

  • ・納期を守る
  • ・作業効率の向上
  • ・トラブルへの対応

それぞれ個別に解説していきましょう。

納期を守る

工程表を用いることで、各作業の進捗状況をリアルタイムで把握し、遅延が発生した場合でも迅速に対応策を講じることが可能です。

迅速にトラブルへ対応することができれば、契約通りの納期で工事を完了させることができるでしょう。

作業効率の向上

工程表により、人員配置や作業時間の調整が容易になり、無駄のない効率的な作業進行が可能となります。

工程表を作成することで工期の短縮やコスト削減にもつながります。

トラブルへの対応

予期せぬトラブルが発生した場合でも、工程表に予備日や調整期間を設けておくことで、柔軟に対応できます。

これにより工事全体の遅延を最小限に抑えることができます。

主な工程表の種類

工程表にはいくつか種類があり、それぞれ用途ごとに適した特徴が存在します。

また、また、工程表は工事全体の工程をまとめた「全体工程表」から、年間・月間・週間と期間ごとに区切った工程表が存在しており、特定の期間の工程表に適している工程表といったように、作成する工程表に応じて適した種類の工程表を選ぶことができれば、効率的に業務を遂行することができるでしょう。でしょう。

バーチャート工程表

バーチャート工程表は縦軸に作業項目、横軸に日付を配置し、各作業の期間を棒状のバーで表現します。

これにより、各作業の開始日、終了日、所要日数が一目で把握でき、全体のスケジュールを視覚的に理解しやすくなります。

バーチャート工程表のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。

メリット

  • ・作成が容易である
    バーチャート工程表は構造がシンプルで、特別なソフトウェアや専門知識がなくても、紙とペンやエクセルなどで簡単に作成できる
  • ・視覚的に理解しやすい
    各作業のスケジュールが棒グラフ形式で表示されるため、誰でも直感的に理解しやすく、関係者間での情報共有がスムーズに行える

デメリット

  • ・作業間の関連性の把握が困難
    各作業の依存関係や関連性を明確に示すことが難しく、ある作業の遅延が他の作業にどのような影響を及ぼすかを判断しにくい
  • ・複雑なプロジェクトには不向き
    シンプルな構造ゆえに、複数の作業が複雑に絡み合う大規模なプロジェクトや、作業間の依存関係が多い場合には、適切な管理が難しくなる

ガントチャート工程表

ガントチャート工程表は工事現場における工程管理の手法の一つで、各作業の進捗状況を視覚的に把握するためのツールです。

縦軸に作業項目、横軸に日付を配置し、各作業の進行状況を棒グラフ形式で表現します。これにより、プロジェクト全体のスケジュールや各作業の進捗を一目で確認でき、関係者間での情報共有が容易になります。

ガントチャート工程表のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。

メリット

  • ・全体像の可視化
    ガントチャート工程表を作成することで、プロジェクト全体の作業内容や流れ、各工程の進捗状況をメンバー間で共有しやすくなる
  • ・トラブルの早期発見が可能
    進捗状況を可視化することで、進捗を妨げている問題やトラブル・課題を迅速に特定できるようになる
  • ・作成に専門知識が不要
    ガントチャート工程表は、タスクや日時を記載したシンプルな構造となっており、専門知識がなくても比較的簡単に作成できる

デメリット

  • ・工数の把握が困難
    ガントチャート工程表は進捗管理に優れているが、各作業の詳細な工数を明確に示すことが難しいため、適切なスケジュール設定が困難になり、作業の遅延を招きやすい
  • ・作業間の関連性が不明瞭である
    各工程の関連性が把握しにくく、進捗率で提示しているため、各作業の詳細な工数が不明瞭である
  • ・頻繁な修正対応が難しい
    トラブルへの対応が容易である反面、頻繁な変更が必要なプロジェクトには不向きであり、特にExcelでガントチャートを作成する場合、進捗スケジュールの変更のたびに手作業で調整する必要がある

グラフ式工程表

グラフ式工程表は工事現場における工程管理手法の一つで、バーチャート工程表とガントチャート工程表の特徴を組み合わせた形式です。

縦軸に進捗率、横軸に日付を配置し、各作業の進捗状況を曲線で表現します。これにより、作業の進捗度合いや予定日数を同時に視覚的に把握することが可能です。

グラフ式工程表のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。

メリット

  • ・進捗と予定が同時把握できる
    グラフ式工程表では、進捗率と作業予定日数の両方を視覚的に確認できるため、現在の状況と計画との差異を一目で理解できる
  • ・作業間の関連性が理解しやすい
    各作業の進捗状況や関連性を把握しやすく、特定の作業の遅れが他の作業にどのような影響を及ぼすかを容易に判断できる

デメリット

  • ・作成の難易度が高い
    バーチャート工程表やガントチャート工程表と比較して、グラフ式工程表は構造が複雑であるため、作成や理解に時間がかかる場合がある
  • ・理解が難しい
    特に初めて利用する場合、表の読み方や作成方法に慣れるまで時間を要することがあり、関係者全員が正確に理解するための教育や訓練が必要となることがある

出来高累計曲線

出来高累計曲線は工事全体の進捗状況を把握するために用いられる工程表の一種で、工程管理曲線やバナナ曲線、S字カーブとも呼ばれます。

縦軸に進捗率(%)、横軸に日付を記載し、上方許容限界曲線・下方許容限界曲線を補助線として描くことで、計画と実績の差異を視覚的に確認できます。

出来高累計曲線のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。

メリット

  • ・全体の進捗把握が可能
    出来高累計曲線を用いることで、工事全体の進捗状況を一目で確認でき、計画との差異を早期に発見できる
  • ・許容範囲の視覚化
    上方・下方の許容限界曲線を設定することで、進捗の許容範囲を視覚的に把握でき、適切な管理が可能

デメリット

  • ・個別作業の進捗把握が困難
    出来高累計曲線は工事全体の進捗を示すため、各作業の詳細な進捗状況を把握することが難しく、個別の工程管理には不向きである
  • ・作成の難易度が高い
    この工程表の作成には専門的な知識が必要であり、作成や管理に手間がかかる場合がある

ネットワーク工程表

ネットワーク工程表は、工事現場における工程管理手法の一つで、各作業の順序や関連性を視覚的に表現するために用いられます。

具体的には、円(○)と矢印(→)を用いて、作業の流れや依存関係を示します。この手法により、プロジェクト全体の構造を明確に理解し、効率的な進行管理が可能となります。

メリット

  • ・工事全体の可視化
    ネットワーク工程表を活用することで、工事全体の流れや各作業の関連性が明確になり、全体像を把握しやすくなる。
  • ・タスク間の関係性が理解しやすい
    各タスクの依存関係や順序が視覚的に示されるため、作業間の連携を理解しやすくなる
  • ・工期短縮やコスト削減ができる
    作業の効率化や無駄の削減により、工期の短縮やコストの削減が期待できる

デメリット

  • ・作成の難易度が高い
    ネットワーク工程表の作成には専門的な知識が必要であり、他の工程表と比べて作成の難易度が高い
  • ・進捗管理が難しい
    各工程の進捗状況を詳細に把握するのが難しく、進捗管理には適していない

工程表に必要な項目

工程表に必要な主な項目は以下の通りになります。

  1. 1.作業項目
  2. 2.作業順序と依存関係
  3. 3.作業期間
  4. 4.担当者
  5. 5.資源と設備
  6. 6.マイルストーン
  7. 7.進捗状況

以上の項目を適切に盛り込むことで、工程表は効果的な現場管理ツールとして機能します。

プロジェクトの特性や規模に応じて、これらの項目を柔軟に調整し、最適な工程表を作成することが成功への鍵となります。

各項目について詳細に解説していきましょう。

作業項目

プロジェクト全体を細分化し、具体的な作業項目をリストアップします。

各作業を詳細に分けることで、スケジュール管理が容易になり、進捗状況の把握が正確になります。 

作業順序と依存関係

リストアップした作業項目の実施順序や、他の作業との依存関係を明確にします。

これにより、どの作業が他の作業の完了を待つ必要があるか、または同時に進行できるかを判断できます。

作業期間

各作業の開始日と終了日、または所要期間を設定します。

作業の複雑さや必要なリソースを考慮して、現実的な期間を見積もることが重要です。

担当者

各作業に責任を持つ担当者やチームを明記します。

これにより、責任の所在が明確になり、問題発生時の対応が迅速になります。

資源と設備

各作業に必要な資材や機械設備をリストアップします。

事前に必要なリソースを把握することで、資材の不足や設備の重複使用による遅延を防止できます。

マイルストーン

プロジェクトの重要な節目や目標となるポイントを設定します。

これにより、進捗の評価や次のステップへの移行判断が容易になります。

進捗状況

各作業の進捗を定期的に記録・更新します。

進捗状況が確認しやすくなることで、計画と現場の差異を把握し、必要に応じてスケジュールの調整やリソースの再配分が可能になります。

工程表作成の手順

工程表は、現場管理において作業の進捗やスケジュールを効果的に管理するための重要なツールです。作成方法としては、エクセルを使用する方法と、現場管理アプリを活用する方法があります。

それぞれの手順を解説します。

エクセルでの工程表作成手順

エクセルを使った工程表の作成手順は下記の通りになります。

  1. 1.タスクの洗い出し
  2. 2.作業順序と依存関係の設定
  3. 3.作業期間の設定
  4. 4.エクセルシートの準備
  5. 5.工程表の作成
  6. 6.作業への担当者の割り当て

エクセルでの工程表作成は、特別なソフトウェアを導入する必要がなく、誰でも手軽に始められるのが利点です。しかし、プロジェクトの規模が大きくなると、手動での更新や管理が煩雑になる可能性があります。

現場管理アプリでの工程表作成手順

現場管理アプリを使った工程表の作成手順は下記の通りになります。

  1. 1.アプリの選定と導入
  2. 2.プロジェクトの設定
  3. 3.タスクの登録
  4. 4.工程表の自動生成
  5. 5.リアルタイムの進捗管理

現場管理アプリの活用は、特に大規模なプロジェクトや複数のチームが関与する場合に効果的です。リアルタイムでの情報共有や自動更新機能により、効率的な工程管理が可能となります。

工程表作成のポイント

工程表作成の際に押さえておくべきポイントとしては以下のようなものがあります。

  • ・誰もが理解できる表現・用語を使う
  • ・わかりやすいデザインにする
  • ・作業内容や工事場所で分類・整理する
  • ・時間の単位を切り替えて表示できるようにする
  • ・印刷時のレイアウトを考慮する

以上のポイントを踏まえて工程表を作成することで、現場管理がより効果的になり、プロジェクトの成功に寄与します。常に利用者の視点を意識し、見やすく使いやすい工程表を目指しましょう。

現場の工程表作成は現場ポケット

現場管理アプリの利用を検討している、気になっているという方におすすめの現場管理アプリとして、「現場ポケット」をご紹介します。

現場ポケットは、工程表の作成や報告書類などの書類作成機能、PDFへの変換など、多彩な機能を一つのアプリで利用できる現場管理ツールです。

2025年1月時点で、導入実績は35,000人以上、契約更新率は約95%と、高い実績を誇るアプリです。

直感的な操作性で簡単に工程表を作成でき、1つの現場だけでなく、複数の現場を一覧形式で確認することができるため、複数現場を担当している方でも問題なく利用できます。また、スマートフォンやタブレット1つで、どこからでも工程表の作成や進捗管理が可能となり、作業効率を大幅に向上させ、書類作成にかかる時間を短縮できます。

また、現場ポケットの工程表作成機能であれば複数種類の工程表を同一アプリ上で作成・管理することができるため、工程表の作成にかかる時間を大幅に短縮することができます。

さらに、アカウント数やデータ容量の追加といった追加課金がなく、年間契約費用のみで利用できる点も魅力です。利用料金は税込みで11,880円/月で利用可能です。

工事現場で活用することができる工程表の作成を効率化したい方や現場管理アプリを試してみたい方は、ぜひ「現場ポケット」の利用を検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

以上、工事現場で活用することができる工程表について解説を行いました。

今回の記事の内容をまとめると以下の通りになります。

  • ・工事において工程表はトラブルへの対応や業務の効率化に欠かせないものである
  • ・工程表には「ガントチャート工程表」や「バーチャート工程表」などの種類がある
  • ・工程表は主にエクセルや現場管理アプリを利用して作成する
  • ・現場管理アプリを活用することで、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末から現場で工程表の修正が可能

新築やリフォームなど、建築業において現場管理アプリは柔軟な対応と業務の効率化を図ることができる便利なツールです。

現場管理アプリの導入を検討している方には、「現場ポケット」のご利用をおすすめします。


こちらの記事もおすすめ!