建設業の工事現場は、すべての工事関係者が竣工という一つの目的に向かって、チームプレーで現場を回していく必要があります。そのため、コミュニケーションは欠かせないものであり、特に現場において中心的な役割を果たす施工管理では特に重要です。
この記事では、建設業の工事現場にコミュニケーションが必要な理由、コミュニケーションが必要な場面、コミュニケーション不足によって起きることなどを解説します。また、現場でのコミュニケーションを円滑にして効率化するアプリについても説明します。
さらに、現場管理に特化したアプリである「現場ポケット」がコミュニケーション・アップに果たす役割についても紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
工事現場でコミュニケーションが必要な理由
建設業の工事現場は、さまざまな年齢層や立場の人が協働する場所です。また、現場の規模が大きくなるほど、協力会社の数は増えて施工体制は複雑になります。
ちょっとした連絡ミスや報告の漏れが、クレームやトラブルに繋がることが少なくないため、丁寧なコミュニケーションによる意思疎通が欠かせません。
工事現場でコミュニケーションが必要な理由について詳しく解説します。
現場を円滑化する
工事現場にコミュニケーションが必要な理由の一番に挙げられるのが、現場を円滑にするということです。建設業では、少子高齢化による慢性的な人手不足が続いており、重層下請構造も変わっていません。
そのため、現状に合わせて、コミュニケーションにも工夫が求められます。現場を円滑化するために、どのようなコミュニケーションが必要なのか解説します。
人材不足への対応
人手不足が深刻になり、建設業は圧倒的な売り手(作業者)市場となっています。そういう現状でよくあるのが、突然作業者が来なくなるという事態です。
このような事態にならないよう、戦力として必要な作業者とは、普段から信頼関係を築くように丁寧なコミュニケーションをしておく必要があります。
常用として長く付き合いのある協力会社の作業者とも、たまにはプライベートな話しで盛り上がるような親密さを構築することが大切です。そのような関係性を築くことが、細やかな報連相ができる素地となります。
世代間のギャップを埋める
建設業では若年就労者が減少を続け、高齢化に拍車をかけています。
建設業で長く働いてきた職人気質の作業者の方の中には、自分が若かった頃のやり方をそのまま通そうとする方もいます。しかし、若い方には納得のいかないことも多々あるため、軋轢が生じやすいです。
そういうとき、この世代間のギャップを埋めるようなコミュニケーションを工夫する必要があります。どちらかを表立って肯定や否定するのではなく、双方のバランスを取りながら「現場のため」を強調して折り合いをつける
取引先との対応
建設業では、建築工事であれ土木工事であれ、さまざまな業種の専門業者が工事に携わります。その他にも、工事関係者は、資材の納入先や重機のレンタル会社、警備会社など多種多彩です。
これらの取引先とのコミュニケーションも工事を円滑に進めるうえで大切です。使用材料が不足している、作業に必要な機器が揃っていないということで段取り待ちが発生し工程に遅れを生じる原因になります。
さらには、発注者や建設事務所、コンサルティング会社などとのコミュニケーションも忘れられません。設計変更を更新し忘れて施工し、やり直しが起こる可能性がでてきます。
現場作業を効率化する
現場作業に関わるコミュニケーションを密にすることで、作業者は自分がやるべきことを確実に把握し、作業を効率よくこなしていくことが可能になります。今、やっている作業が完了したら、次に何をやるべきかわかるので動きに無駄がありません。
これによって、現場作業は効率化し、生産性が向上します。また、現場が半自動的に回り始めると、施工管理は現場に拘束される時間を短縮できるので、書類整理や取引先との打ち合わせの時間をとることができるようになります。
コミュニケーションの精度を上げることは、現場作業が効率化するだけでなく、施工管理の長時間労働の削減にも有効なのです。
現場の安全性を高める
現場で働くすべての人のコミュニケーションがスムーズになると、現場の安全性も高まります。危険予知やヒヤリハットに関する事柄を共有しやすくなるからです。
昨日の現場でこのようなヒヤリハットがあった、あの作業をするときは声をもう少しかけあったほうがよくないかなどの意見を言いやすくなります。それを聞いた同僚たちは、お互いに注意しあって作業をするようになります。
現場管理者の「今日は駐車スペースに出入りする車両が多いので、より安全確認に留意するように」というような細やかな注意事項も重要です。
工事現場でのコミュニケーションが必要な場面
ここでは、工事現場でのコミュニケーションの必要性について、いくつかの場面を想定して解説します。
施工に係わる指示と報連相
「報連相」とは、「報告」「連絡」「相談」の3つの頭文字を取ったビジネス用語です。
工事現場では、施工の進捗状況を上長に報告する場面が多く、今後の施工に必要な資材や機器の連絡、発生した施工上の課題にどう対処するかなどの相談が欠かせません。
このような報連相を受けた際は、あまり時間をおかずに反応や指示をフィードバックすることで、お互いの信頼関係が構築できます。
工程スケジュールの調整
工事現場では日常的に不測の事態が起きますが、契約工期は厳守するのが鉄則のため、工程スケジュールの調整をしなければならない場面が多々あります。
例えば、使用資材が予定日に到着せず計画通りの施工ができないとわかったとき、工程スケジュールの調整が必要になります。別の作業を前倒しで行うことが確定したら、そのことを関係者全員に周知しなければなりません。
こういう場面で丁寧なコミュニケーションを心がけることは、現場の混乱を最小限に抑えることに繋がります。
取引先や協力会社との対応
不測の事態や設計変更などにより、現場の工程の調整が大がかりになったとき、現場内の調整だけでは済まないことがあります。そういうときは、速やかに関係各所とコミュニケーションを取らなければなりません。
取引業者や協力会者にも決まったスケジュールがあり、それを調整してもらう時間が必要になるからです。こういう場面では、できる限り低姿勢で懇切丁寧に事情を説明し、今後の取引に影響を残さないようにすべきです。
トラブル発生時の対応
工事現場のトラブルで、最も慎重なコミュニケーションが求められるのは、近隣住民からのクレームへの対応でしょう。
工事車両が巻き上げる砂埃や泥がひどい、夜間の重機の作業音が説明を受けた以上にうるさい、交通誘導員の人数が不十分だなどのクレームです。
こういう場面では、とにかく相手の話しを聞き謝罪すべきことは謝罪し、相手の気持ちに寄り添っているという印象を持ってもらうことが重要になります。
そして、できる限り素早く対応策を検討し実施すべきです。まずは、言えば応えてくれるという事実が重要です。
工事現場でのコミュニケーションが不足するとどうなる?
工事現場でのコミュニケーションが何らかの理由で不足すると、徐々にですが確実に現場に影響を与えてきます。どのような不具合が生じる可能性があるかを説明します。
作業効率の悪化
工事現場は、元請と下請、施工管理と職長、現場と各取引先など、さまざまな立場の人たちの関係性で成り立っています。これらの人たちのコミュニケーションが不足すると、工事の正常な進行に必要な情報の共有が上手くいかなくなります。
情報の伝達漏れや誤解、遅延によって、仕事量に見合わない人員配置や使用資材不足、仮設・機械の手配漏れによる段取り待ちなどが発生し、作業が滞るようになって作業効率が悪化します。
施工品質の低下
工事現場の作業効率や生産性の悪化は、結果的に施工品質の低下を招きやすいです。
効率の悪化で工程が計画通りに消化できなくなり、何とか間に合わせようと、施工に「適当」や「いい加減」が生まれてくるからです。
また、工事現場のコミュニケーション不足による影響が続くと、工事に携わる人のモチベーションも下がります。ミスや不備が続くことで信頼関係が失われて、投げやりな状態になるからです。
安全性が担保されない
建設業の現場での事故は、重大な結果を招きやすいことは周知のとおりです。そのため、作業所ごとに、定期的な頻度で安全協議会や安全パトロールなどを行うことが必須となっています。
このとき、最も重視されるのは、現場管理者と実際に働く作業者とのコミュニケーションです。
現場の危険要因や作業者の不安定行動を発見したら、頭ごなしに指摘し合うのではなく、原因に焦点をあてて改善策を検討・実践していくことが大切です。そのためには、管理者と作業者のコミュニケーションによる信頼関係の醸成が欠かせません。
このコミュニケーションが不足すると信頼関係の構築ができなくなるため、安全性が担保されなくなる可能性が高まります。
工期遅れの危険性
コミュニケーション不足による作業効率の悪化と施工品質や安全性の低下により、施工の正常な進行が滞るようになると工期遅れの危険性が格段に高まります。
日常的に工事のミスや不備が発生し、日々の工程が達成できなくなるからです。そうなると作業者のモチベーションも下がるため悪循環に拍車がかかります。
工期遅れという決して起こしてはならない結果を回避するためにも、工事関係者のコミュニケーション不足は意識して避けなければならない事案です。
事務所とのコミュニケーションも重要
本社の事務所スタッフや営業担当者とのコミュニケーションも、工事の総合的な進行のために非常に重要です。
正確な工事現場の情報を共有することで、事務所スタッフは工事のさまざまな集計を行って予算と実績の管理・監視を行い、営業担当者は顧客との継続的な関係の構築に役立てます。
建設会社にとって工事は会社全体の生命線です。そのため、工事は現場だけで管理されるものではなく、会社全体で支えて取り組むべきものです。
特に施工管理者は、事務所や営業と密にコミュニケーションを図り、現在のやり方が間違っていないことを確認しながら現場を動かしていかなければなりません。
工事現場のコミュニケーションにはアプリがおすすめ
現在の建設業では、生産性の向上や働き方改革、国土交通省のICT化推進などへの対応が喫緊の課題となっています。これらを強力にサポートできるため、各建設会社が導入を急いでいるのが現場のコミュニケーションを効率化するアプリの導入です。
工事現場のコミュニケーションにはアプリがおすすめである理由について解説します。
工事関係者の連携を強化できる
コミュニケーションの効率化を実現するアプリは、クラウド型でチャット機能を有しているものが多いです。リアルタイムで現場情報を共有できるうえに、必要な情報に写真や図面を添付できるチャット機能を使用することができます。
工事ごとにトーク画面や掲示板が設定できて、電話やメールの必要がなくスピード感が圧倒的に増し、情報の共有漏れを防ぐこともできます。また、すべてのやり取りが記録として残るため、情報の振り返りも非常に楽で確実です。
これらの機能により、工事関係者の連携を大幅に強化できます。
工事の進捗状況を可視化できる
これまで現地に赴いて確認していた工事の進捗状況は、すべてクラウドサービス上で可視化されます。
現場ごとに各工程の進捗や担当者、工期を一目で確認できて、工程の情報共有も簡単にリアルタイムで行うことが可能です。工程変更が発生した場合でも、掲示板への設置や関係者へのメッセージ送信で素早く容易に対応できます。
アプリを導入することで、工事の進捗状況が可視化されるとともに、コミュニケーションの精度を大幅にアップできるのです。
いつでもどこからでもアクセスできる
クラウドサービスを活用することで、スマホやタブレットなどから、いつでもどこからでも工事情報にアクセス可能です。
現場ごとのグループチャットを活用すれば、要件や施工写真などの操作を行うこともできます。事務所スタッフから現場作業者まで、大事な要件は掲示板で確認でき、要件に関する問い合わせもチャットやトークで行えます。
アクセスしたい相手にピンポイントでメッセージを送ることもできるため、細やかな情報共有も問題ありません。
現場のコミュニケーションは現場ポケット

現場管理に特化したアプリの「現場ポケット」は、トーク機能で現場のコミュニケーションを強力にサポートします。
初期費用無料でランニングコストは基本11,880円(税込)/月、オプション費用は一切かからず、アカウント数・データ容量、現場登録数を無制限で活用できます。
現場ポケットのトーク機能について紹介します。
現場ポケットでできるコミュニケーション・アップ
現場ポケットのトーク機能は、現場のコミュニケーション・アップに大きく貢献します。
現場単位でのグループチャットが可能で、素早い情報交換と共有が可能です。また、周知したい重要事項は、掲示板にピン留めできるので見落とし防止にも繋がります。
さらに、現場単位で顧客のファイルデータや住所などを一目で確認できる画面デザインとなっている点もおすすめです。
通常の無料通話アプリでは、現場ごとの情報管理に限界がありますが、現場ポケットならストレスなく管理することが可能となります。
まとめ
工事現場のコミュニケーションについて、以下の内容で解説してきました。
- ・工事現場でコミュニケーションが必要な理由と場面
- ・工事現場でのコミュニケーション不足で起きること
- ・事務所とのコミュニケーションの重要性
- ・工事現場のコミュニケーション・アップにアプリがおすすめな理由
- ・工事現場のコミュニケーションをサポートするアプリ「現場ポケット」の紹介
さまざまな要因で、工事現場にはコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションが不足している工事現場は問題が生じやすく、工期遅れが起こるリスクさえあります。
また、作業者をはじめとする関係者のモチベーションも下がりやすいです。
現場ポケットのような現場業務に特化したアプリを導入することで、工事現場のコミュニケーションを向上させ、誰もが「働きやすさ」を感じられる現場を実現していただきたいです。