高品質な塗装工事で顧客の信頼を得る株式会社信越塗装。同社では、かつて写真の管理をLINEで行っていましたが、案件が増えるにつれて容量や情報整理の限界を感じていました。
現場ポケットの導入は、単なるツール変更に留まらず、従業員のITへの意識を根底から変え、施工品質の向上という大きな果実をもたらしました。
ツールが組織に与えたポジティブな影響と、その背景にある「意識改革」の重要性について、代表の福澤様にお話を伺いました。
LINEでの写真管理の限界と、見えない「情報の属人化」
――現場ポケットを導入する前は、どのような課題がありましたか?

福澤さん: 一番の課題は、報告書作成の効率化と写真の管理でした。以前は写真共有にLINEを使っていましたが、案件が増えるにつれて、すぐに容量が一杯になってしまうんです。
その度に新しいトークルームを作らなくてはならず、過去の写真を遡って探すのも一苦労でした。案件ごとに写真が整理されているわけではないので、管理が非常に煩雑でしたね。
――情報共有の面ではいかがでしたか?
福澤さん: 幸いなことに、社内の報・連・相は元々しっかりとできていたので、連絡が滞るような大きな問題はありませんでした。ただ、今思えば、それはあくまで私自身が全体を把握していたから言えること。
現地の調査報告なども含め、多くの情報が私の中に集約されている状態で、いわば属人化していたんです。従業員たちは現場に入る前に詳細な情報を共有できていたわけではなく、その点は改善の余地があると感じていました。
決め手は「報告書作成」と容量無制限の「写真クラウド」
――現場ポケットを知ったきっかけと、選ばれた理由を教えてください。

福澤さん: 提携している企業の方から紹介されたのがきっかけです。正直なところ、当時は私たちから積極的に新しいシステムを探していたわけではありませんでした。
いくつか他社のシステムも耳にはしましたが、本格的に比較検討したわけではなく、タイミングよくご提案いただいたのが現場ポケットだったんです。
――その中で、導入の決め手となったのは何だったのでしょうか?
福澤さん: 大きく二つあります。一つは、当初の目的だった「報告書が簡単に作成できる」という点。そしてもう一つが「写真の保存」です。どのクラウドサービスを使っても、いずれは容量の問題に突き当たりますし、有料プランになることが多い。
それならば、いっそ現場管理に特化したこのシステムに投資して、全従業員、全案件の写真を一元管理してしまおうと考えました。案件ごとに写真が整理され、容量を気にせず使える。これは大きな魅力でしたね。
何年か経って、過去の施工実績をすぐに引き出せるようになれば、さらに価値が高まると期待しました。
ITアレルギーの壁を越えた「対面サポート」の価値
――導入はスムーズに進みましたか?従業員の皆様の反応はいかがでしたか?
福澤さん: これが、本当に大変でした(笑)。私自身は特に難しいとは感じなかったのですが、従業員にとってはITツールへの心理的なハードルが想像以上に高かったようです。30代、40代のメンバーでも、「アプリをインストールして管理する」ということ自体に抵抗感を示すほどで…。ダウンロードはできても、その先の初期設定で手が止まってしまう状態でした。
――それは大変でしたね。どのように乗り越えられたのですか?

福澤さん: 実は、現場ポケットのサポートに「誰も使えないから教えに来てほしい」とお願いしたのですが、当時は訪問サポートが難しいとのことでした。
途方に暮れていたところ、塗料の営業担当者の方が「それなら私が行きますよ」と、わざわざ私たちの会社まで足を運んでくださったんです。
そして、従業員一人ひとりに手取り足取り操作方法を教えてくれました。この対面でのレクチャーがなければ、正直、導入は頓挫していたかもしれません。あの時の”ひと手間”が、会社のDXを大きく前に進めてくれました。
――使えるようになってからの皆さんの様子はいかがですか?
福澤さん: あんなに苦労したのが嘘のように、一度使い方を覚えてしまえば、みんな問題なく使えています。今では「トークで現場の位置情報を共有しておく」といった操作も各自でできるようになりました。やはり、一番の壁は「使い始めるまで」の心理的な部分なんですね。
写真の「撮った撮らない」が激減。全員参加で高まる施工品質
――導入後、具体的にどのような効果を感じていますか?

福澤さん: 「作業効率が劇的に上がった」というよりは、「施工の品質が格段に向上した」という実感の方が強いです。最大のメリットは、案件ごとにトークルームが分かれ、写真が整理されることで、誰が見ても「どの現場の、どの作業の写真か」が一目瞭然になったこと。
例えば、複数の現場が同時に動いていても、情報が混在することがありません。これにより、私以外の施工管理担当者も、他の現場の進捗を写真でリアルタイムに確認できるようになったんです。
「あそこの現場、この作業は終わったかな?」といったチェックが可能になり、管理の精度が格段に上がりました。
――従業員の方々の行動にも変化はありましたか?

福澤さん: 大きな変化がありました。現場ポケットで全員が写真を見られるようになったことで、「あれ、あの工程の写真がまだ上がってないよ」「上塗りの写真は撮った?」といったように、従業員同士でごく自然に指摘しあうようになったんです。
誰か一人が管理するのではなく、チーム全員で品質をチェックする文化が生まれました。結果として、写真の撮り忘れが大幅に減り、お客様に提出する報告書のための記録もしっかりと残せるようになりました。これは嬉しい誤算でしたね。
IT導入が育んだ「プロ意識」。お客様に選ばれるための組織改革
――導入して最も良かったと感じる点は何でしょうか?
福澤さん: 従業員の「意識改革」が実現できたこと。これに尽きます。現場ポケットというツールを導入し、半ば強制的に使わせる形にはなりましたが、それが結果として「今の時代、プロとしてITツールを使いこなすのは当たり前なんだ」という意識を組織全体に浸透させるきっかけになりました。
仕事以外のことで新たな負担を強いるのは、経営者として心苦しい面もあります。しかし、それを乗り越えなければ、時代の変化についていけません。このツール導入が、従業員一人ひとりの意識のレベルを何ランクも引き上げてくれたと感じています。
――その意識改革は、会社の成長にどう繋がるとお考えですか?
福澤さん: お客様から「選ばれる会社」になるために、不可欠な要素だと考えています。昔のように、ただ腕が良ければ仕事が来る時代は終わりました。
今のお客様はインターネットで何でも調べ、複数の業者を比較するのが当たり前です。その中で、私たちの施工品質はもちろんのこと、「この会社は管理体制がしっかりしているな」と感じていただくことが、信頼と契約に繋がります。
ITを活用して現場をきれいに管理し、質の高い報告をおこなう。そうした姿勢が、私たちの大きな強みになるはずです。現場ポケットの導入は、そのための重要な第一歩となりました。
さらなる進化への期待を込めて
――今後、活用を広げていきたい機能はありますか?

福澤さん: 今は報告書と写真管理、案件管理といった基本的な機能をメインで使っており、まずはこれで十分満足しています。
特別な機能を追加で使うというよりは、この基本機能を何年も使い続けることで、過去の施工データという貴重な資産が蓄積されていくことに期待しています。
10年後、お客様から「うちの壁って、前に何色で塗ったんだっけ?」と聞かれたときに、すぐに施工写真と情報を提供できる。そんな未来を実現できるのが楽しみですね。